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正月号2018.01.01
加点と減点
新年おめでとうございます。
龍性院檀信徒の皆様方におかれましては、平成30年の新しい年をご家族ご一同様でご無事にお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。
また、昨年中に皆様方に賜りましたご厚情に対しまして、心よりお礼を申し上げます。
さて、先月のことですが、学生時代の友人数人と久しぶりに食事に出掛けました。
美味しい料理を囲みながら、学生の時の話で盛り上がっていた時、友人のひとりがテストの点数に話題を向けました。
その友人は、俗に言えば大変勉強が得意であり、テストで一度70点代をとってしまった時に、もうどうしようもなく落ち込んでしまい、しばらく立ち直れなかったという話でした。
勉強が得意でない者からすれば嫌みに聞こえるかもしれませんが、彼は本当に落ち込んだと真剣に話してくれました。
その話を聞いていたもう一人の友人は、「俺だったら、70点代とれたら万々歳だよ!」と答えました。
私は、そのやり取りを聞いて、なるほどな~と納得し、箸を進めていました。
テストの点数は同じ70点でも、ある者からすれば立派な合格点であり、またある者からすれば落第点に等しいと感じる。
人間の心、感受性は実に様々だなと感じました。
テストに限らず私たちは常日頃、さながらテストの点数の如く、自らや他人の事について心で採点を下しながら生活をしています。
食事にしても、口に運び自らの経験と判断の元に、美味しいとか不味いと判断し、採点しています。
人間関係にしても、「この人はこんなにいいところがあるけど、ここがダメだ!」と他人を採点します。
この採点の方法には、加点式と減点式の二つがあります。
先ほどの70点で落ち込んでいた友人は、70点という点数を減点式でとらえているのだと思います。
もともと100点満点のはずのなのに、30点分も間違ってしまったという考え方です。
一方、もう一人の70点で万々歳の友人は、もともとは0点のところ70点分も正解できたという加点式の考え方です。
私は、この二つの考え方のどちらが正しく、どちらが間違っているということを言いたいわけではありません。
確かに、100点を目指そうと思えば楽観的に物事を考えるだけでなく、どこで30点間違ったのか、きちんと向き合うことは大切です。
しかし、70点をとったことで、しばらく立ち直れないほどに落ち込むというのであれば、そこは加点式で事実を受け止め、次回に向け前向きに努力を重ねていくのが、その方の為ではないかと感じます。
人についても、どうしても私たちは減点式で判断しがちです。
自分も含め、100点の人間なんてそうはいるものではありません。
自分や他人、すべてのものの良いところを加点してみる心を養えれば、今まで以上にゆとりをもって過ごせるのではないでしょうか?
年頭に当たり、皆さまのご健勝、ご多幸をせつにお祈りいたします。